デリヘルドライバー初出勤
「あんたバカぁ?」
アスカが顔を真赤にして怒っている。一体どうしたというのだ?
「あんたね。どこの世界にバイトに受かって即お、オ○ニーするやつがいるのよ。しかもこんなレディがいるそばで…」
なんだかよくわからないがアスカが何やら喚いている。思春期の女の子のように耳まで真っ赤にして。どうやら俺がさっき喜びの自慰行為をしたことが気に障ったらしい。目の前でしたわけでもないのに。何がどうしたというのだ?
「少しは申し訳ないとか、恥ずかしいとかないの?とにかく、今後ここではオ○ニー禁止。分かった?」
禁止されてしまった。
僕の名は石田あきら。どこにでもいる無職でパチンコ中毒の普通の40歳だ。先日、新型コロナによるリストラのせいで長年勤めていたパチ屋をクビになった。普通だけが取り柄で特殊技能も資格も何もない僕は「男の風俗求人サイト」という求人サイトに載っているお店に電話を掛け、第3新東京市にあるお店のデリヘルドライバーとして採用されたのだが…。
出会い
「うー。こんなことじゃ先が思いやられるは」
アスカがはぁ。とため息をついていた。何か僕が悪いことをしてしまったようだった。気をつけないと。もうここ以外行き場なんてどこにもないのだから。借金も200万ほどあるし。
アスカと並んで歩いていて、曲がり角を曲がったときだった。
「ドン」
僕はなにかにぶつかり倒れてしまった。
「…」
ん?でもなんかあんまり痛くないぞ。
なにか柔らかいものにぶつかり倒れたみたいだ。
「ちょっと、いたたたた。一体なに?」
「あ、ミサト。すみませんってちょっとあんた。ミサトのどこ触ってんのよ」
どうやら僕は曲がり角で人にぶつかって倒れてしまっていたようだった。手のひらに2つの柔らかい感触があるけどこれは何だ?こころなしかいい匂いもするし。
「あんた、いつまで触ってるの?」
アスカの怖い声が聞こえる。僕はこのミサトという人のおっぱいを触っていたようだ。しかしこれは仕方ない。不可抗力だ。
僕は起き上がり、非礼を侘びた。
デリヘルドライバーの先輩
ミサトという人はそこまで気にしていないようだった。けれど、アスカはかんかんに怒っていた。
「アスカ。いいよいいよ。彼も悪意があった訳じゃないんだし。石田あきら君だっけ?今日からよろしくね」
いい人だった。
「はあ、まあいいわ。じゃあ説明するわね。この人はミサト。今はデリヘルドライバーをやっているあなたの先輩よ。」
「え?」
僕は控えめに言ってかなり驚いた。
「デリヘルドライバーって女の人もやるのか?」とアスカに聞いた。
「やらないわよ普通は。いろいろ事情があるの。あなたの先輩なんだから色々聞いてね。女だけど運転の腕は一流よ」
「あきら君。わからないことがあったら私に何でも聞いてね」とミサトさんが言った。
子供っぽいアスカと比べると、この人の大人っぽさが強調される気がした。歳はわからないが熟女の域だろうか。さすがに初対面で歳は聞けない。年上にも見えるし年下にも見える。ただ体型はスレンダーでバストは張りがありツンと上向いている。とても魅力的な女性に見えた。
デリヘルドライバーの仕事内容
そして僕はミサトさんから仕事の内容を簡単に教わった。
「基本的にラブホテルに送るだけ。運転さえ出来ればOKよ。定番のラブホテルはカーナビに入ってるから1週間も仕事したら全部覚えると思うけどね」
ミサトさんの説明は分かりやすかった。送る場所が決まっているなら簡単だ。難しいことなどなにもない。
「カーナビがあるのか。そう言えばドライバーは他にいないのか?」
「前に1人いたんだけど、いろいろあって辞めちゃったのよ。だからドライバーの求人出してたんじゃないかな?」