休日 デリヘル・ドライバー日記10

休日 デリヘル・ドライバー日記10

2021/02/12
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休日

完全なる休日だった。僕は窓越しに少し小雨交じりの空を眺めている。夕暮れかかり、赤く燃えるような空は僕の心との対比のように見えた。

この一週間、デリヘルドライバーになり、慌ただしく毎日が過ぎ去った。空虚だった僕の心もいろんな女の子たちと関わるにつれ、あの空のように変わっていたのだと思う。

充実していたというわけだ。

その毎日は継続中だ。それなのにどうしてこんなに心が寂しいのだろう。僕は自室の座椅子から立ち上がり、窓の近くから外を見た。夕暮れ時だ。一本向こうの路地にはスーパーの買い物袋を大量に持った母親らしき人が歩いている。その人とちょうどすれ違うように、母親と子供が笑いながら通学路を歩いていた。

いつもと変わらない。何気ない風景。僕は、ポケットから煙草を取り出し、そっと火をつけた。

窓際で黄昏るのは嫌いじゃない。

とにもかくにも僕の毎日は街の日常から少し離れている。目の前の景色がどことなく別世界に見えた。

僕の名は石田あきら。どこにでもいるパチンコ、Vtuber中毒のごく普通の40歳デリヘルドライバーだ。パチ屋をクビになったため「男の風俗求人サイト」という求人サイトに載っているお店に電話を掛けてデリヘルドライバーとなった。いろんな女の子と出会ったのだが…。

アスカとレイについて

話を整理しよう。僕は一週間前にデリヘルドライバーになった。パチ屋をクビになり借金を返すためだ。毎日が退屈だった。

正直女の子との出会いだなんてなかった。ところがデリヘルドライバーになってみると毎日女の子と話しているような気がする。自分の人生でこんなこと今まであったか?いやなかった。だからだろうか。少し無理をしすぎたらしい、頭の中が混乱している。

僕は冷蔵庫からコーラを取り出し、腰に手を当てぐびっと飲んだ。

僕は少し、女の子たちの気持ちを分かるようにならねばならない。アスカやレイの気持ちが正直まったく分からないのだ。単刀直入に疑問を聞くことの何が悪いのか。僕はこうやって生きてきたし、これからもこうやって生きていくつもりだ。

しかし。

僕はちらりと赤く染まり、もの悲しげな夕空を見た。

少し考えを改める必要がありそうだ。俺ももう40だし。今までそんなにいいことなかったし。

…視聴開始

そうと分かればやることは一つだ。

僕は座椅子に座り、PCを開いた。時刻は夜7時前。そろそろ始まるはずだ。

「みんなー。こんばんは。あ、ちゃんと繋がってるかな」

お気に入りのVtuber、イカリユイの配信が始まった。

「はーい。こんばんは。みんなのアイドルユイでーす。みんな今日もお仕事お疲れ様。えらいえらい」

僕は阿修羅のような形相でPCのキーボードを「タンっ」と慣れた手つきで打ち込んだ。

「え?うそ、もう!!」

画面上のVtuber(絵)が驚いている。それと同時に僕もにやりと微笑んだ。

「もう赤コメがついてるよ。やっぱりアキラ君か。いつもありがとう。大好きだよ」

Vtuber・ユイが僕に感謝している当然だ。

僕が何を行ったか。そう。投げ銭を5万円入れたのだ。最高レベルの金額を入れると、コメントが赤く表示される。Vtuberが気付けるようにだ。ユイはいつもすぐ気づいてくれる。そして、課金コメントは必ず読み上げ、相談に乗ってくれる。

この日は一番乗りを達成できたので気分が良かった。

「条件:やる気!月収60万円マジで稼ぐ」

「アキラ君のコメント…ふむふむ。これは難問だなー」

ユイよ。僕にはもうお前しかいないんだ。頼むぞ。

「夜のお仕事をしている女の子と仲良くする方法を教えてください…か。これはアキラ君がお客さんなのかなー」

ユイよ。違うぞ。僕はデリヘルドライバーだ。客ではない。つっこみコメントを入れようとしたそのときだった。

「実は私も夜のお仕事の経験があるから分かるんだけどさ」

「え?」

僕は驚きながら顔をあげ、画面上のユイを見つめた。

つづく

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bon

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